こんにちわ、救急医はるだんです。
現在TBSでドラゴン桜が放送されていますね。「バカとブスほど東大に行け」と過激発言する桜木先生は本シリーズでも健在です。そんな荒めの発言連発の桜木先生ですが、言っている内容は世の中の真理を捉えたようなところがあり、人気の高いキャラクターです。ドラゴン桜観たことない方は、他の漫画ではありますが、カイジのトネガワみたいな感じといったらわかるでしょうか(笑)。前回のドラゴン桜(2005年)では、振り返ると山P 、ガッキー、そして今回も出演している長澤まさみさん、と多くの今では主演級の役者さんたちが学生役として出演していますのでこちらもみていない方は必見ですね。

さて、日本の大学受験では、東大はもちろんそうですが、医学部に合格することも1つのステータスとして社会一般的には評価されていると思います。よく進学校の「東京大学合格者ランキング」に加えて「医学部合格ランキング」なんかも目にしますよね。それでは、桜木先生の「バカとブスほど東大に行け」がもし、「バカとブスほど医学部に行け」だったらドラマは成り立つのでしょうか。医学部に合格することで、今後の人生においてどのような影響が期待できるのか。医学部合格を目指すべき理由について今回は考えてみたいと思います。
(医学部を目指すのは「医師になりたいから」でしょ?と言う至極真っ当な意見は今回はなしにします。)
医学部合格(医師になる)を目指すべき理由
・就職先に困らない
桜木先生:「いいか、人間社会、無事平穏に生き抜くこと…これ自体が難しいんだ」
大人になったら、生きていくためにはお金を稼がなければいけませんが、会社に勤めていてもいつクビを切られるかなんて誰にもわかりません。リストラされたらすぐには新しい働き口が見つからない、そういった方も多いのではないかと思います。一方、医師に関しては、その病院で勤められなくなっても、健康でさえいれば、他の給料のもらえる働き口はたくさんあります。フリーランス医師といって、どこにも属さず多数の病院で好きな時に働くようなスタイルの医師たちもいます。今の職場に見放されても別の就職先があるという安心感は絶大だと感じます。桜木先生の言う「人間社会を無事平穏に生き抜くこと」がより容易になります。起業するなど新しいチャレンジも、生活に困窮するリスクが低く、トライしやすいかなと思います。
・経済的メリット(小金持ちになれる)
桜木先生:「バカは一生成長できねえ。富を得るなら賢くなれってことだ。」
医師は一般的に平均年収が高い職業なのは事実です。特に日本ではアメリカなどと異なり、あまり競争が働かずに能力問わずで、好きな診療科、病院で働けてしまうところがあるので、医師としての責任感などを度外視して、ただ「より楽して稼ぎたい」だけなら簡単にできてしまう部分もあります。個々の能力自体があまり給料には反映されづらく、あまり優秀でなくても世間一般的にみた「小金持ち」にはなりやすいと思います。一方で、勤務医では稼ぐ力の上限が決まっているので、起業したり、開業したりしなければ、どんなに非常に優秀な方でも「大金持ち」にはなかなかなりづらい一面もあります。
(※ただし、その他先進国と比較すると日本の医師の収入は低いですし、給与が実際に負う責任を考慮した際に妥当なのか、労働時間を反映した際にどうか、大学院生無給問題、給料を稼ぎ始める年齢が遅い、大学病院の医師の給料のほとんどは外勤先がメインとか、そういったことは考慮しなければなりません。)
・社会的評価が高い
東大と一緒ですね。「医学部に合格した」「医師である」ということだけで、世間的な評価は一般的に高いものです。医師になると「先生」と呼ばれるようになります。実際に医師になって、社会的に尊い職種として認められているなと思うことは多くありますし、一方で社会的な評価が高い分、恥ずかしくない行動をとらねばならないなとも思います。
・医療行為を行うことができるという限定資格
当たり前なんですが、医療行為ができるのは医師のみです。この事実は、臨床以外との掛け算を考えた時にも、非常に強力に働きます。例えば、自分は医療AI関連の研究に現在従事しているのですが、AI関連の技術開発自体ではエンジニアの方々にとてもかなわないなといつも思います。しかし、プロレベルではなくともエンジニア技術自体を学ぶことは今の時代では可能です。業界に入ることだって、雇ってくれる企業があれば可能でしょう。しかし、逆に他の業界の方々が、医療経験を実際に経験することは簡単にできるでしょうか。答えはNoです。「1年間だけ医療経験してみる」とかそういうことはできないんです。医学部に合格して、6年間大学生として学び、その後国会試験に合格しなければなりません。医療者としての経験や、実臨床に近い現場環境に身をおいていること、医療に関するドメイン知識が身についていること、などは明らかにメリットで、とても貴重に感じます。他の業界からの参入障壁が高いことは、近年求められている仕事の掛け算のうち、「医療Xα」というジャンルの独自性が出やすいことと同義であり、メリットです。
それでは、医学部合格で逆に人生で得られにくくなってしまうものはあるでしょうか。
医学部合格(医師になる)を目指すべきではない理由
・楽な労働環境ではない
日本の医師の労働環境は全体として決して良いものではないと思います。休日、夜間勤務も多いですし、労働時間、仕事量も膨大です。自身がアメリカ留学していた際に、海外の医師が一人一人の患者の診察をゆっくり時間をかけて行っていることにびっくりしました。本来はそうあるべきですが、日本ではそんな余裕が現実にはない状況です。ごった返しの診察待ち患者を抱えながら、いわゆる「5分診療」と揶揄されるようなスピードで患者さんの診察をしています。日本のアクセスの良い優れた医療システムは、医療者の日々の献身を土台にしてギリギリ支えられています。日本の医療体制に余力はありません。急激な変化に非常に弱く、今回のコロナウィルスパンデミックでわかるように、容易に破綻しやすいのは問題となっています。
・多様な世界観に触れづらい
桜木先生:「知らないということは実に恐ろしいことなんだ。」
医療業界は他業界の刺激を受けづらく、閉鎖的な環境かなと思います。意識しないと視野が狭くなりやすいです。他業界では常識的に行われていることも医療業界ではまだそうではないということも往々にしてあります。桜木先生の言うように、知らないと言うことは恐ろしいことですので、能動的に医療業界以外で行われていることに目を向ける必要があると思います。
・日々勉強の毎日
桜木先生:「人間の脳は穴だらけ。水が漏れるように知識が漏れる。つまり人間は忘れるのだ。」
医師になることは、勉強嫌いの方には向いていないかもしれません。医師にとって、正しい知識や情報量があることは能力の1つですので、日々水が漏れるように漏れていく知識を維持し、さらには最新の知見をアップデートしていかなければなりません。ただし、これはどんな職業でも同じなのかもしれません。
以上、医学部合格を目指すべき理由(目指すべきではない理由)を考えてみました。桜木先生ではないですが、医学部合格も決して無理難題ではないように思いますので、是非興味のある方は合格目指して頑張ってください。最後に桜木先生にありがたいお言葉をいただいて締めたいと思います。
本日の格言
「人生には正解がたくさんある。大学に進むのも正解。行かないのも正解。スポーツに夢中になるのも、音楽に夢中になるのも、友達ととことん遊び尽くすのも。そして誰かのためにあえて遠回りするのも、全部正解だ。だから生きることに臆病になるな。自分の可能性を否定するな。受かったやつも、落ちたやつも、堂々と胸を張って生きろ。」
桜木 建二 (ドラゴン桜より)
それではまた👋
コメント