こんにちわ、救急医はるだんです。
暑くなってきましたね。熱中症のシーズン到来です。今年はコロナ禍での東京オリンピック開催もありますし、熱中症について一緒に学びましょう。
今回は趣向を変えて、お笑いネタのパロディでいきたいと思います。ミルクボーイさん、あの鉄板パターンお借りします!
(ちなみに、自分はミルクボーイのネタの中では、「デカビタ」というネタが一番大好きです。)
それではいってみましょう。
熱中症
はる&だん「どうもー。 はるとだん、合わせて救急医はるだんでーす。」 だん「あ、ありがとうございますー。 今、指示簿に挟むオーダースケールをいただきましたー。」アズワン:品番 0-042-09 はる&だん「ありがとうございますー」 だん「こんなん なんぼあっても良いですからね」 はる「最近みかけなくなりましたからね」 だん「ねー 有り難いですよ ほんとにね」 はる「入れておきましょう」 だん「ゆーとりますけどもね」 はる「いきなりですけどね うちのオカンがね 最近罹ってしまった病気があるらしいんやけど」 だん「そーなんや、それは大変やったねえ。」 はる「その名前をちょっと忘れてしまったらしくてね」 だん「自分のかかった病気、忘れてもうて どうなってんねんそれ」 はる「でまあ色々聞くんやけどな 全然分からへんねんな」 だん「分からへんの? ほな俺がね おかんの罹った病気 一緒に考えてあげるから どんな特徴ゆうてたか教えてみてよ」 はる「おかん、クーラーのないサウナみたいな部屋にいつも住んどるねんけど、なんかめまいがあったり、意識ボーッとなってきて、病院に運ばれたらしいんやんか。病院では体温が40度以上になってたらしいんやけどな。でも感染症とかじゃなくて環境が原因だって言われたらしいねん」 だん「あー。。。 熱中症やないかい その特徴はもう完全に熱中症やがな」 はる「熱中症なぁ」 だん「すぐ分かったやん こんなんもー」 はる「でもこれちょっと分からへんのやな」 だん「何が分からへんのよー」 はる「いや俺も熱中症やと思うてんけどな」 だん「いやそやろ?」 はる「オカンが言うには 解熱剤を医者が使用したら熱もすぐ下がって良くなったらしいんやんか。」 だん「あー。。。ほな熱中症と違うかぁ 熱中症は感染症なんかとは違う生理学的経路で体温が上昇するから解熱剤使っても効果ないっていうもんね。」 はる「そやねん」 だん「熱中症に対する解熱剤使用は肝障害や凝固障害を悪化させる可能性もあるらしいしなー」 はる「そやねんな」 だん「まあ熱中症の炎症反応は全身性炎症反応症候群、いわゆるSIRSとも捉えられるし、腸管血流の低下と虚血からのエンドトキシン血症の関連も指摘されてるから、解熱剤使いたくなる気持ちもわかるけどな。」 はる「そやねんそやねん」 だん「とにかく熱中症には解熱剤なんかの薬物ではなくて、迅速に冷却することが一番重要なんやから。熱中症ってそういうもんやから ほな熱中症ちゃうがなこれ」 はる「そやねん」 だん「あれ ほなもう一度詳しく教えてくれる?」 はる「なんか2パターンあって、若い人がなりやすい比較的軽症なのと、年寄りがなりやすい重篤になりやすいのがあるらしいねん。」 だん「熱中症やないかい 熱中症は労作性と非労作性に分けられるんやから。労作性は、激しい身体活動の影響で起こるんや。スポーツ選手や労働者に多いから必然的に若い人に多いんやで。一方で、非労作性は体温の調節機構が低下した高齢者に多いねん。高齢者は、年齢に加えて、慢性疾患抱えてたり、内服薬飲んでるんもあって、体温調節に重要な心拍出量とか末梢血管拡張が不十分になりやすいねん。ほんで、一人で自宅に住んでる高齢者も最近は多いやろ。そやから労作性よりも気づかれにくくて、徐々に進行して悪化してしまうパターンなんや。だから俺はね 熱中症になってからのことよりも、こういった熱中症に弱い方たちを社会として守る予防、仕組みが一番重要やと睨んでんのよ 俺の目は騙されへんよ 俺騙したら大したもんや」 はる「なるほどねー」 だん「俺は何でもお見通しやねんから 熱中症やそんなもんは」 はる「分からへんねん、でも」 だん「何が分からへんのや、これで」 はる「俺も熱中症やと思うてんけどな」 だん「そうやろ」 はる「オカンが言うには 救急車で運ばれる時、救急隊が「scoop and runだ!」って言ってたらしいんや。」 だん「ほな熱中症ちゃうやないかい scoop and runは外傷とか心停止患者で搬送優先の時にとられる作戦や。熱中症はcool and runや。できるだけ体温を迅速に下げるんや。10分に1℃より早いペースで下げるのが理想やな。熱中症では、院外で39度まで体温を下げることを目指したいな。」 はる「そやねん」 だん「準備があれば体を冷水に浸すことも目標のペースで体温を下げるには効果的やで。でも体温下げる手段が乏しかったら、搬送が遅れすぎるのも考えものやけどな。」 はる「そやな」 だん「熱中症ちゃうがな ほな もうちょっとなんか言ってなかった?」 はる「こんなん飲まされたらしいねん」
大塚製薬:経口補水液(OS-1) だん「熱中症やないかい 脱水、電解質の補正にはこれ(経口補水液)はこれで決まりや。水飲むと、低ナトリウム血症のリスクがあるし、スポーツドリンクもおいしくなるように吸収効率よりも甘め重視で設定されとるから。経口補水液が一番なんよ。熱中症よそんなもん」 はる「分からへんねんだから」 だん「なんで分からへんの これで」 はる「俺も熱中症やと思うてんけどな」 だん「そうやろ」 はる「オカンが言うには病院行ったら、おでこにこんなん貼って重点的に冷やしてたいうねん。」
小林製薬:熱さまシート だん「ほな熱中症ちゃうやないかい 冷却ジェルシートはいい商品やし、俺もしょっちゅう使うとるけども。熱中症の冷却では出番はないのよ。迅速な冷却のために、体表に近くて太い血管を特に狙って重点的に冷やすんやから。つまり、足の付け根(鼠径部)、首(頸部)、脇(腋窩)や。デコではないんよ。病院でよく中心静脈路確保として選択される場所でもあるやろ」 はる「せやねん」 だん「熱中症患者が病院来たらね、これに加えて、血液検査とって、冷たい点滴投与して、霧吹きで水を体に吹きかけて、扇風機で風を送るんや。重症の場合には、血管内を直接冷却するカテーテル入れたりもするで。できるだけ早く、院内では38℃まで下げるよう頑張るんやから」 はる「せやねん」 だん「熱中症ちゃうがなほな ほなもうちょっとなんかゆうてなかった?」 はる「日頃から発症の原因に慣れてると起こりにくい疾患らしいねん。」 だん「熱中症やないかい 日頃から暑い環境に慣れてるとなりにくいんやから。暑熱順化っていうねん。だから梅雨明けとかいきなり暑くなる時期に急にぐわーっと患者増えんねんから。ワクチンとかもそうやろ。人間は同じような敵には、体が適応してくれるようによくできてるねんから。だから急に暑い環境でハードワークさせるコーチなんかいたら、俺は動くよほんま 熱中症や絶対」 はる「分からへんねんでも」 だん「なんで分からへんのこれで」 はる「俺も熱中症と思うてんけどな」 だん「もう、そうやて」 はる「オカンが言うには 研究がよく進んでいる領域で、疾患の病態や治療の根拠はほぼ確立してる言うねん。」 だん「ほな熱中症ちゃうやないかい 熱中症は残念ながら、研究が進んでない領域やねん。ガイドラインみてみい。全部エビデンスレベル低いやろ。熱中症研究は暑い国でないと流行らなかったり、季節性があるから学問的な発展が難しいところがあるんや。俺は熱中症研究は今後、熱中症大国日本がリードしていくことに期待しているんやから。」 はる「なるほどな」 だん「ほな熱中症ちゃうやないかい ほなもうちょっとなんかゆうてなかった?」 はる「なんかFIREいうてたな。」
だん「熱中症やないかい 熱中症の応急処置のキーワードやがな。Fluid:適切な水分補給 Icing:身体を冷やす Rest : 安静 Emergency:救急搬送/119番や。捻挫なんかのときのRICEとちゃうで。FIREや。」 はる「そやねん」 だん「FIREでもう熱中症に決まり」 はる「でも分かれへんねん」 だん「分からへんことない おかんのなった疾患は熱中症!」 はる「でもオカンが言うには 熱中症ではないって言うねん」 だん「ほな熱中症ちゃうやないかい! オカンが熱中症ではないと言うんやから熱中症ちゃうがな!」 はる「そやねん」 だん「先ゆえよ 俺がFIRE説明してる時どう思っててんお前」 はる「申し訳ないよだから」 だん「ホンマに分からへんがなこれ どうなってんねんもう」 はる「んでオトンが言うにはな」 だん「オトン?」 はる「マラリアちゃうか?って言うねん」 だん「いや絶対ちゃうやろ! もうええわー」 はる&だん「どうも ありがとうございましたー」
いかがだったでしょうか。自分で作っといてなんですが、こういう形で医学的な知識を学ぶの気に入っちゃいました(笑)。また、違う疾患でもやってみようと思います。
本日の格言:
暑くなければ夏じゃない。
熱くなければ人生じゃない!」
松岡 修造
それではまた👋
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