こんにちわ、救急医はるだんです。
臨床家にとってはとっつきにくいAI関連の勉強ですが、例え周りにAIに強い医療人がいなくても、今は自分で学べる時代です。
とはいえ、何かしらの短期的な目標がないと独学って結構大変なんですよね。そんな方におすすめなのが、この「日本メディカルAI学会認定資格」。日本メディカルAI学会が「株式会社キカガク」さんとコラボし、さらに文部科学省後援の資格講座として最近公開されています。

今回は実際に講座を受講し終えた感想を箇条書きにして皆様と共有します。どの知識レベルの方に最も合致しているのかなども含めて考察してみたいと思います。
:ディープラーニングG検定についても過去に解説しています。よろしければ参考にしてみてください。

https://adventureofqq.com/gkentei/
日本メディカルAI学会公認資格講座の感想
1:なんてったって無料
講座を受講するだけなら無料なんです。全て終了した際に、公認資格を発行してもらいたい場合のみ1万円(税別)費用がかかります。なので、途中で続かずにやめてしまっても、経済的負担は全くありません。勉強目的で資格自体はいらないよという人は無料で全て受けれてしまいます。この気軽さは◎です。ただ、おそらく大体の人は、講座終了した証として、公認資格を発行してもらいたいと思うと思いますけどね。
2:講座の内容が段階的でわかりやすい。
日本メディカルAI学会公認資格講座では基礎編と応用編に分かれており機械学習を段階的に学べるようになっているのも良い点だと思います。

というのは、さあ今からAIの勉強をやってみようという初学者が陥りやすいのが、機械学習を勉強しようとして、「ディープラーニング(深層学習)」から勉強を始めてしまったりすることが往々にあるからです。実は自身もA Iの勉強をしようと決心した際に、「何かディープラーニングっていうのがすごいらしいぞ、よし勉強しよう」ということで、ディープラーニングの参考書や動画講座からAIの勉強をスタートさせて、見事に一度挫折した経験があります。「実力がついて、初めて相手の強さが測れるようになる」とはよく言ったものです。今思うと無謀でした。機械学習といっても幅広く、初心者はディープラーニングから絶対に学ぶべきではありません。「AIはやっぱり自分には無理だった」となってしまうからです。本講座のように、順序だって勉強していくことは非常に肝要です。
注意すべきは、基礎編と応用編のレベルに少し格差があるように思いました。基礎編に関しては、臨床研究経験がある程度ある方なら、少なくとも前半部分(ロジスティック回帰まで)はスムーズにいくレベルですし、コードを書く勉強もできて非常に良いのかなと思います。後半からニューラルネットワークが入ってきますが、このあたりも解説はすごくわかりやすいですし、しっかりやればクリアできるレベルではないかと思います。
しかし、応用編になるといきなりガッツリとディープラーニングです。基礎編ができたと思っていても応用編になると格段に難しく感じるんじゃないかな思います。個人的には、もし応用編で挫けそうになったら、再び戻ってくることを誓って、この講座を潔く離れることをお勧めします。そして、他のUdemyやCourceraなどの評価の高い機械学習講座や、または参考書で、ディープラーニング以外の機械学習やpythonプログラミングを勉強することを優先すべきだと思います。一番いいのは、自分の専門領域のデータベースを使用して、何でもいいので、実際に機械学習予測モデルを作成してみることですね。これが一番勉強になります。そうしてディープラーニングではない機械学習には慣れたなと思うレベルになったらまた応用編に「ただいま」と言って、戻ってきましょう。
※応用編に戻る前に、先ほど紹介したディープラーニングG検定を受験するのがさらにお勧めです。コード自体はあまり学びませんが、ディープラーニング全体を学ぶことができますので、この段階での受講は非常に効果的かと思います。自分は機械学習にある程度慣れたなと感じれるくらいの時期にG検定を受講し合格した後、メディカルAI学会公認資格講座を受講しています。このレベルだと、基礎編は簡単に感じ、応用編はまさにちょうどいい(自分よりレベルが高いことを挫けることなく学べるレベル)という感じでした。
正直、解説内容は基礎編にしろ応用編にしろ神がかってわかりやすいと思いますので、「意味わからん」という人は解説のせいではなく、自分はまだこの段階ではないと知るのが肝要かと思います。
3:医療領域に即したプログラミング体験ができる。
メディカルA I学会公認資格講座の強みはなんといっても医療領域に特化しているということでしょう。わかりやすさだけなら、巷に機械学習を学べる講座はその他にも多くありますが、大体は使用するデータセットは一般的に利用されているものが多く、医療領域のものでないことが多いです。当たり前ですが、医療者が学ぶ際には医療関連のデータを使用した方が格段に理解しやすいですし、こんなことができるんだという実感やアイディアも得られます。応用編では、最初こそMNISTと呼ばれる有名な手書き数字のデータセットを使用しますが、その後は心電図、MRI画像、末梢血液像のデータを使用して勉強しますので、まさにメディカルAIを体験できます。
また、応用編ではCNN、ファインチューニング、セグメンテーション、バウンディングボックス・・・とG検定試験の勉強で記憶してきた数々の単語たちが、どんどんプログラミングしながら経験できます。そう言った意味でもG検定試験後の応用編は楽しく感じることができると思います。
4:認定資格なので講座の単元ごとにテストあり
認定資格講座なので、各講座の単元ごとに数問のテストがあり、資格が欲しい方はこのテストに合格しなければなりません。確認テストとして勉強になるのですが、このテストがこの認定資格最大の難関です。なぜなら、
100点を取らなければならない
からです。
他のオンライン講座、例えばcourceraの講座などでもテスト合格が認定証の条件であったりすることはよくありますが、自分はこれまであまり100点を要求してくるテストに出会ったことがありませんでした。もちろんやり直しは何度でも聞きますし、基本授業内容に即した問題です。しかし、全て選択肢とかではもちろんないですし、時折授業内容で習っていない応用問題も出現します。考えてもわからない課題をなんとかウェブ検索とかで問題解決していくことなんかはよくありますが、まさにその問題解決能力が試されます。自分は資格が欲しかったので、講座を1つずつ、わからなくても調べながらなんとかクリアしたのですが、「最後の最後で調べてもわからない問題出てきたらどうしよう」と不安とずっと戦いながら講座を受けてました。まあ、資格が取れなくても肝心の成長できるという部分は事実なんですが、テスト100点が必要というのは資格ゲットへの高い壁に間違いなくなっていると思います。
いかがだったでしょうか。ともあれ、医療業界でAIを使ってなんらかのプロジェクトしたいという方にとっては有意義な講座であることは疑いの余地がないと思います。「日本メディカルAI学会認定資格」。皆様が活躍されている領域の専門資格のお供にいかがでしょうか?
本日の格言
I will come again & conquer you
because as a mountain you can’t grow, but as a human, I can.
(エベレストよ、今回は私たちの負けだ。) だが必ず舞い戻って、登頂してみせる。なぜなら、山はこれ以上大きくならないが、私はもっと成長できるからだ
Sir Edmund Hillary (エモンド・ヒラリー)
それではまた👋
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