こんにちは。救急医はるだんです。
今回は、医療における偉大なる発明、「ワクチン」に関して、聖闘士星矢を引用して、解説させていただきます。

引用:聖闘士星矢(車田正美)4巻 集英社
いやー子供の頃、めちゃくちゃハマってました。聖闘士星矢!星座に詳しくなったのは、聖闘士星矢のおかげです。今、息子たちはポケモンを集めてますが、自分が同じくらいの頃は、聖闘士のフィギュアを集めたものでした。
今回はワンカットのみの引用ですが、聖闘士星矢で超有名なセリフなので、ご存知の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
同じ技は二度も通じぬ。今やこれは常識
なんです。
ワクチンについて、どんなものかはある程度ご存知だと思います。バイキン、ウィルスが体に侵入する事で、人間の体を攻撃するのですが、我々の体にはそれに対抗する免疫という防御力が備わっています。つまり、聖衣(クロス)を纏っているようなものです。しかし、その防御は完璧ではありません。相手の必殺技が強力であれば、一撃でこっちの聖衣(クロス)は破壊され、命を落とすことにもなりかねません。
そこで、ワクチンです。バイキンやウィルスを無毒化または弱毒化したものを予め投与しておくことで、体に一度覚えさせるのです。(詳しくは、「抗体」という武器を獲得させます。)するとどうなるか。本物のバイキンやウィルスが体に侵入しても、
「同じ技は二度と通じぬ」
という聖闘士状態になります。実際には相手の強力な必殺技を一度も受けていないのにもかかわらず、効かない(あるいは効果を弱くする)ということができるのです。
ワクチンは偉大な発明です。これまでも人類を苦しめてきた多くの感染症に対して、圧倒的な解決策を提供してきた歴史があります。人類を苦しめた天然痘が、ワクチンによって根絶させられたのは有名な話です。現在でも麻疹、風疹、水痘、ジフテリア、破傷風、肺炎球菌、毎冬にはインフルエンザワクチンなど、子供から高齢者まで多様なワクチンが身近にあると思います。我々を感染症から守ってくれています。
今回の新型コロナウィルス感染症(COVIDー19)に対してもワクチン接種が国内で始まっています(令和3年3月時点)。ワクチンの力というのは絶大なのです。
※今回のブログで一番伝えたいこと。それは、効果のあるワクチンなのですが、ある種のワクチンでは、いまだにその普及率は十分ではないものがあるということです。
特に、日本におけるヒトパピローマウィルス(HPV)ワクチンの普及率の低さは問題となっています。このウィルスへの感染は、子宮頸癌の原因となると考えられています。つまり、ヒトパピローマウィルス(HPV)ワクチンを接種しておくと、子宮頸癌への予防になるのです。これは画期的な事ですよね。だって、癌という強敵に対しても聖闘士状態になれるのですから。
ワクチンではないですが、ピロリ菌感染に対する除菌と胃癌の抑制も有名ですね。内視鏡技術の発達と合わせて、進行胃癌の患者は激減しています。外科医の友人も最近は胃癌を切ることは昔より圧倒的に減ったと言っています。
この子宮頸癌に対するワクチンですが、副反応(副作用)とされる症状がメディアで騒がれた背景があり、世界の動きとは逆行する形で、日本で積極的勧奨が中止になってしまいました。これはとても由々しき事態です。防げたはずの子宮頸癌患者が今でも大量に発生する可能性があるということです。そして命を落とす可能性があるのです。
最近医療界、政治会で、積極的子宮頸癌ワクチン勧奨再開の動きが進んでいます。1日でも早い再開を願っています。
そして、新型コロナウィルスに対するワクチン。世界中の科学者たちの努力の結晶であるワクチンは、十分な検討を経た上で開発がされています。接種に怖さを持っておられる方、誤情報に惑わされることなく、前向きに接種を検討してみてください。
本日の格言
『 Medicine is a science of uncertainty and an art of probability』
(医学は不確実性の科学であり、確率のアートである。)
-William Osler(ウィリアム・オスラー)
ワクチンにはもちろん、一定の確率でアレルギー反応などは起こりえますが、副作用や合併症というのは、医療における薬剤投与、手術など医療行為全てに起こりうるものです。医療者は患者にメリット、デメリットを天秤にかけて、より良い方策を提案しています。みんなでフェニックス一輝みたいな強い聖闘士になりましょう。
それではまた👋